INTRODUCTION

of corporate cases and initiatives

企業事例・取組紹介

「発酵種(だね)」 に対抗できる機能性小麦粉
20数年前の“タネ”が技術の進化で芽吹く。

この、乳酸菌との奇跡のコラボ「Royal Ripe(ロイヤルライプ)※」も面白いですね。
なぜこのような商品が生まれたんですか。

製品開発にあたっていろんな切り口はあるんですが、日本人は古来から味噌や醤油などの発酵食品が非常に好きですよね。 健康効果はもちろん、風味も良く日持ちすることも好まれる要因の一つとしてあると思うんですが。
パン業界の中でも、風味を良くし日持ちを向上させるために「発酵種(だね)」という液体を小麦粉に加えて作る技術があるんです。 営業や開発スタッフから「発酵種を使ったパン作りが流行っている」という情報があり、みんなで議論したりさらに情報収集していく中で、発酵種を究極に突き詰めていくと、その旨味は何なのかといったら最終的には「乳酸菌」であるという結論に辿り着きました。 そこで、粉末化された乳酸菌を小麦粉に最適な割合でブレンドした製品の開発に至りました。
※『Royal Ripe(ロイヤルライプ)』……乳酸菌EC-12が1袋(25kg)につき約6兆個配合されており、
健康意識を高める乳酸菌入りのパンや菓子を作ることができる。

パン屋さんが、小麦粉と液体の発酵種(乳酸菌)を混ぜていたものを、先に小麦粉に入れられないかと。
やはりエンドユーザーの声があったらからこその商品開発ということですね。

我々は営業も技術スタッフも実際にお客様の現場に入らせていただいているので、ヒントは得やすいですね。
また当社は20数年前にある発酵メーカーさんと資本提携していたことが一時期ありまして、今回の商品のベースには、その発酵メーカーさんが当社の小麦から抽出した植物性乳酸菌があるんです。 それを粉末化させた乳酸菌を今も入れているということなんです。

ということは「ロイヤルライプ」が出来る20数年前にその “タネ” があったということですか。
発酵メーカーさんとの資本提携のきっかけはなんですか。

当時、京都のあるパン屋さんの紹介で「バイオテクノロジーを利用したベンチャー企業があるんだけど、小田象さんなら面白いことができるんじゃないの」とお声かけがありました。 当社にも何か新しいことを取り入れていこうという機運があったんでしょうね。 出資の見返りとして当社の小麦を使った植物性乳酸菌を作るという技術提携があって、最終的に小麦粉に生かしていこうと。 現在、その発酵メーカーさんとの提携は解消していますが、今回の製品誕生のきっかけのひとつです。

エンドユーザーから声が上がった、実はその20数年前の全く違うタイミングで乳酸菌を作っていた…… ということは、原型は20数年前にあった商品ということですか?

そうですね。 当時実際に、植物性乳酸菌発酵米粉を入れた製品がありました。 しかし、お客様のニーズに訴求できていなかったのか、商品としての魅力を伝えきることができず、その後の販売数量は伸び悩んでいました。 ところが、近年のエンドユーザーからの「発酵種」に関する情報と、ここ数年の世の中の健康志向からヨーグルト業界を中心に乳酸菌ブームもあって、改めて乳酸菌というのもが小麦粉業界にあっても面白いんじゃないかと考えリニューアルを決めました。
リニューアルにあたって当社の開発スタッフからのアイディアで、これまでの1種類の乳酸菌だけだと面白くないし、乳酸菌の個数もうたえた方が販売戦略上としてパン屋さんも売りやすいだろうと、新たな乳酸菌(販売一袋あたり6兆個の乳酸菌入り)を加えることにしました。 当社も20数年前にはなかった「微粉砕技術」がちょうど確立されたこともあり、その冷蔵・冷凍耐性にも優れる微粉砕された機能性小麦粉と新たな乳酸菌で、より付加価値の高い製品を作ることができたと思います。

まさにオープンイノベーションですね。

独自の技術開発と社外連携で革新的製品を生み出す。

その「微粉砕技術」とは具体的に言いますと……

日本国内では、古来数百年変わらない粉砕技術としての「ロール式粉砕※」が主流なんですが、当社はその「ロール式粉砕」プラス「気流粉砕※」を一つの製粉ラインでハイブリッド化させる技術を確立しました。「微粉砕技術」と言われるものは世の中にはたくさんありますが、量産化させる技術がないとコストが上がり市場のニーズを満たせません。 当社が商業ベースに載せられるその技術を確立させたことは非常に大きく、他社との差別化になっています。
※ロール式粉砕……ロール機という丸い円筒の間隙に小麦を落として粉砕する技術。
※気流粉砕……気流を用いて粉砕する最新技術。

「微粉砕技術」 をやろうと思ったきっかけは何ですか。

小麦粉はその粒度の大きさで、パンやお菓子の品質を左右します。 従来の「ロール式粉砕」でも粒度を細かくコントロールする技術はあったんですが、やや弱点もありまして、「ロール式粉砕」のみで細かくしすぎると、二次加工の製造工程で吸水※がうまくいかず、仕上がりの食感がクチャついたりベタつくというデメリットが出てくるんです。 その課題に応えるためにも開発を進め、その技術を使って一気にパン、めん、菓子用の小麦粉の製造に応用することができました。
※パンを作る時など小麦粉に水を加える過程で吸水のバランスが良いと美味しく仕上がる。

そういう課題があって、解決までのプロセス、製品化までの連携はどういう流れなんですか。

当然、機械は専門の機械メーカーから調達してくるんですが、そこから先は当社独自の技術で開発を進めてきました。 正直、今回のテーマとは逆でクローズドな世界、社内のみで技術を高めて完結させたというのが事実です。

その課題解決のために、製粉する前の小麦自体を変える必要はなかったんですか。

もちろん、特色ある小麦を製粉することによって、付加価値をつけることもできるとは思いますが、コストもかかりますし「原料の小麦が違う」とダイレクトにノウハウがわかりますよね。
うちの機能性小麦粉シリーズの評判が良いのは、普通の小麦を独自の製法技術を使って、特殊な小麦粉を生み出しているというところが面白くて良かったのではないでしょうか。

こだわりのない業界だからこそ活きる、
製品の良さを引き出す “デザイン” という付加価値。

ところで、パッケージやネーミングがめちゃくちゃかわいくてかっこいいのですが、どういった経緯でこんな素敵なデザインになったのでしょうか。

もともと製粉業界はネーミングもデザインもそこまでこだわらない業界だったと思います。 特に当社はBtoCではなくBtoBなので、これまでは包装さえ出来ていればいいという発想で、やっていなかったんですよね。
その後わたしが社長に就任して『KISA』を出すときに、せっかく良い製品ができたのでパッケージにもこだわりたいと考えました。 社員からアイデアを募集します、と呼びかけてはみたのですが、もちろんプロではないわけですから……そんな時あるデザイン会社さんとの出会いがあり、一回話を聞いてみようということになってそこからのお付き合いですね。

やってみた結果はどうですか。

売り上げも伸びていますし、品質との相乗効果でブランディング強化、イメージアップにつながっていると思います。“小麦粉”という、一見、画一的な製品にいかに付加価値をつけていくか、品質が大前提だとしても、デザインやネーミングでその良さを広く伝えることができるんじゃないでしょうか。ここ数年は、そのデザインが専門誌や広告媒体に載ったことで、サンプル依頼も増え売り上げも伸びています。『KISA』から始まったシリーズでブランドイメージが形成され、営業もしやすくなりました。お客様が袋を飾るケースもあって、「小田象さんの紙袋ちょっとちょうだい」みたいなことも言われます。やってみて非常に良かったなと思います。

私もデザインは企業経営の中ですごく重要な役割になっていると思います。特にこれまでデザインにあまり関係ないと思われていたような業界の方がより強いインパクトを生み出すと感じていますね。

県産小麦普及への課題に挑む
岡山の企業としての使命。

今後、オープンイノベーションによって解決したいことはおありですか。

岡山県産小麦の販売促進です。取り扱ってる原料の約90%が外国産小麦で、品質的にも商業ベース的にもやはり外国産小麦に力を入れています。流通が少ない岡山県産小麦というのはどうしても後手後手になってしまっていました。当社でも色々と製品開発はしており、「ぼっけー粉」などの岡山県産小麦シリーズもレパートリーは増えていますが、商業ベースに乗るにはまだまだですね。

岡山県産小麦を使っているお客様というのは、岡山県の方が多いですか。

圧倒的に岡山ですね。使っていただいているお客様からは、地産地消という地域貢献的な側面からも喜んでいただいています。地場のホテルや旅館からの引き合いが徐々に出てきていますが、正直クローズドの中だけでは需要を大きく伸ばすのは難しいのではないかと感じています。

岡山県産小麦の課題はなんでしょうか。

小麦の性質上、粘り気が多く、製粉の工程で機械が詰まってしまうことがあります。。外国産小麦はよほどのトラブルがない限り一日中安定的に製粉できるんですが、岡山県産小麦は製造ラインに2時間流すともう色々なところが…… 製粉会社にしかわからない話ですが、現場での大変さはあります。

製造工程にも一癖ある岡山県産小麦を使って、それでもやろうとするのはなぜでしょう。

経済合理性だけでいえば、やらない選択もあるとは思うんです。ただ、岡山の企業として、地元の製粉会社としてもそこはやるしかないと前向きに捉えています。
地産地消を越えるためにも、製粉会社だけでなく、生産農家であったりJAさんであったり、エンドユーザーの二次加工業者さんであったり、他業種さんとのオープンイノベーションによって、岡山県産小麦が売れるようになれば、農家さんも当然モチベーションが上がると思うんです。
自分たちが作った小麦が、どういう形で製粉されて、最終的な消費者であるお客様にどんな風に届いているか見えれば、作る側としては思い入れがもっと出てくるでしょう。それは自ずと品質にも影響を与えるのではないかと思います。一気通貫で、農家、製粉業者、行政、色んな各種民間の異業種の方々と新しい取り組みができれば、もっともっと倉敷、高梁川流域も活性化するんじゃないかと期待しています。

質面、コスト面で課題のある岡山県産小麦をどう使っていくのか、どう普及させるのか、その解決のプロセスも面白そうですね。最後に、小田社長の今後の夢を教えてください。

2016年に大阪営業所を開設しましたが、今後は岡山県や近隣だけではなく、日本全国に当社の素晴らしい製品である機能性小麦粉の良さを知っていただき、必要とされているエンドユーザー様の元へ一袋でも多くお届けしたいと思っています。もちろん、岡山県産小麦の普及にも引き続き努めていきたいと思っています。
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