INTRODUCTION

of corporate cases and initiatives

PICK UP 取り組み事例紹介

NIIYA KEIICHIRO
デニムの端材から未来を創る。
企画力を武器に挑んだ、倉敷で取り組む循環型ビジネスモデル

デニムの端材を正しく循環させる、吸音材の技術と知見を活かしたオープンイノベーションの試み

デニム端材を使用して吸音材を作る実証事業に至った背景を教えてください。

倉敷の繊維製品は、世界に誇れる地場産業であり、海外への情報発信をいかに上手くプロモーションするかが今最大の課題となっています。特にヨーロッパ市場は、エコやサステナビリティ、ウェルビーイングといった概念に非常に敏感なので、これらのテーマと絡めて発信することが重要です。
一方で、弊社では吸音材の事業の海外進出に力を入れています。2026年1月にパリで開催されるメゾン・エ・オブジェへの出展など、世界を舞台に挑戦する中で、自社の吸音材事業の知見や技術と、繊維業界の課題を結びつけました。そして、「双方にメリットがある取組を、多くの事業者と連携しながら一緒にやりませんか?」と倉敷市に提案したんです。この提案が、結果的にデニム端材を用いた吸音材の実証事業という形になりました。

吸音材事業の知見や技術を結びつけることで、解決可能だと考えられた繊維業界の具体的な課題とは何でしょうか。

大半の使用済み繊維がうまくリサイクルできていないことです。
従来の繊維リサイクルにも様々な手法があります。まず、古着としての再利用は、古着が100%流通すると新品の服が作れなくなってしまうので限界があります。発展途上国に過剰に寄付された古着が、寄付先の繊維産業の成長を妨げた上、結局ゴミになってしまうなどの社会問題になっていますよね。また、薬剤を使ってポリエステルを再び繊維にするケミカルリサイクルという手法もありますが、莫大な費用がかかる上に、色を抜く技術も必要なので、まだまだ実用的ではありません。
結果として、使用済み繊維は焼却されるものが最も多いのが現状です。
しかし、現状で数少ない現実的な手段として、繊維を粉砕し、別の形に変えて活用する「マテリアルリサイクル」という方法があります。実際に、繊維由来の材料は自動車の防音材などに使われています。ただし市場規模が小さいため、それ以外の事業として成立させるのが難しく、積極的に取り組む企業は多くありません。

タケシンパッケージが描く新たな循環型ビジネスモデル

具体的にどのようなリサイクル方法を提案したのでしょうか。

我々が倉敷市に提案したのは、需要と供給のバランスが取れた繊維リサイクルの仕組み作りです。具体的には、繊維の端材を再不織布化し、様々な企業が利用できる「汎用性の高い材料」として安定的に供給することでした。これまで需要が見込めず、誰もやろうとしなかった事業をうまく軌道に乗せるためには、多くの事業者をこの繊維リサイクルに巻き込むことが重要です。そこで、事業者が参加しやすい環境を作るために倉敷市と連携しました。結果、いろんな繊維業者さんからデニムの端材をご提供いただくことができたのです。

再生材料の利用を促進する仕組み作りという中で、貴社が吸音材を製品化したのは、どのような意図があったからでしょうか。

我々が今回の実証事業で吸音材を開発したのは、単に「吸音材を売りたい」という考え方ではありません。最終的には、この再生材料が販売され、購入した人達が多様な商品展開をしていくスタイルを目指しています。どのような物でも作れるとなった場合に、弊社は吸音材を作る技術を持っていたので、今回の実証事業では得意分野を活かした製品を作りました。

今回開発された吸音材は、繊維リサイクルのあくまでも「一例」なのですね。

はい。今回製造した吸音材は、我々が目標とする循環型モデルにおける利用方法の一例です。「作る責任、使う責任」と言われているように、事業者も「廃棄したら終わり」ではなくて、自分たちも積極的に再生材料を利用する考え方を持つことが大事だと思います。次のステップとしては、このプロジェクトに多くの協力者を巻き込み、より広い範囲で拡大していきたいですね。

経済活動を通して「誰かのために」社会貢献をすること

貴社は多くの人や企業を巻き込みながらさまざまな事業に挑戦していますが、その原動力とはいったい何でしょうか。

根底にあるのは「人の役に立つこと」です。経済活動を通して社会貢献を行うのは、企業として当たり前のテーマだと思います。我々ができることを駆使して、いろんな人たちに喜んでもらいたい。そのために欠かせないのが、アイデア力(企画力)です。私が第一人者として立ち上げた弊社の企画営業部は、数々の悩みに応えて会社の中心ともいえる存在となりました。小さな会社でも芯のある企画が打ち出せることは、弊社の強みでもあります。

今後力を入れて取り組んでいきたい社会貢献活動はありますか?

今は教育関係です。現在の日本では、学力格差や不登校児の増加傾向が問題になっていますが、これは既存の教育カリキュラムによる影響だと考えています。そこで、子ども達の協調性や自主性を育むために、岡山県立大学と地域の小学校、幼稚園・保育園と連携した、世代間交流イベントを企画したりしています。イベントには弊社の組み立て式の幾何図形キットを使用し、小学生には幼児へ組み立て方を指導してもらい、大学生にはその様子を見守りながら全体のサポートをしてもらいました。子どもたちが世代に応じたより良い体験をできるように、今後も定期的に地域の教育機関と連携していきたいところです。

行政と連携することで、公益性のある社会貢献が実現する

オープンイノベーションなど、横のつながりを活かした地域連携をおこなう上で重要なことは何でしょうか?

特定の事業者だけが利するビジネスには公益性を感じられません。そのため誰もが公平に利益を上げられるような組織作りが一番大事です。我々はお金を稼ぐためのビジネスをやりたいのではなくて、あくまでもみんなでより良い地域を創っていきたいのです。もちろんそんな綺麗事だけではビジネスは成立しません。しかし、目先の利益にとらわれずに動くことで、その社会貢献がいつか自社の価値向上にもつながっていくと信じています。
また、このような公益性を保つためには、行政との連携が欠かせないと思います。行政と連携することで、プロジェクトの透明性が上がり、多くの方々が参加しやすくなるはずです。特にオープンイノベーションには、誰もが気軽に意見交換をしたりパートナーシップを結んだりする機会が重要なので、高梁川流域クロッシングのようなプラットフォームの取組は今後重要になっていくと思います。

挑戦の舞台は海外へ。企業存続のカギを次世代に繋ぐ。

今後の目標はありますか?

企業が持続していくためには、人材の確保と、お客様や取引先のような事業を共にするパートナーの存在が必要不可欠です。
今の時代、全国的に人手不足が深刻化しています。特に、自ら企画し実行する「頭脳労働ができる人材」を、中小企業が確保するのは難しいです。この課題を乗り越えるためにも、弊社は海外進出を決意しました。

企業を持続させるためのヒントが海外にあるのですね。

単に利益を求める為のグローバル化ではなく、視野を広げてマーケットや雇用を拡大することが、企業の持続化や発展につながると考えています。「国境を越えて友達づくりをする」というスタンスを、私たちの世代で確立しておけば、次の世代が海外で活躍しやすくなると思いました。
正直、海外進出への挑戦は難易度が高いです。しかし、次世代がより広いネットワークでビジネスができるように、海外への道筋を太くしておいて、環境を整えていくことを目指します。
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