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高梁川流域圏でのオープンイノベーション vol.2

高梁川流域圏でのオープンイノベーション vol.2

井原鉄道といすみ鉄道

総社駅と広島県福山市の神辺駅を結ぶ井原鉄道と千葉県の房総半島を走るいすみ鉄道は、両鉄道会社で相互協力し、地方鉄道の楽しさやワクワク感を全国へ発信できる連携事業を2021年11月から開始しています。

会社略称である「い鉄」のつながりをきっかけに連携し、全国の鉄道ファンに向けて地方鉄道を楽しんでもらうために、これまでに、お互いの会社の鉄道グッズの取り扱いや、い鉄コラボ限定鉄印の販売などを行ってきました。

西日本のい鉄と東日本の「い鉄」のタッグ。距離を超えてどんな連携事業が行われるのか、今後も注目されます。

同業は競合ではなく協調相手

一般的な競争戦略論に照らすと、これまで同業他社は競合と捉えられてきました。いかに同業他社に対して優位を築くかにしのぎを削るライバルであり、敵という見方です。

ところが、近年では、お互いの会社のバリューチェーンを補完したり、市場拡大を優先して自社の技術を提供したり、共同で研究開発を行ったりという動きが大手企業を中心に見られ、同業という存在に対して、競争よりも協調相手として捉えることが多くなってきました。

今回の井原鉄道といすみ鉄道も同業での協調の事例ですが、鉄道会社のような地域に密着した産業における同業同士の協調は、さらに踏み込んでお互いの事業に好影響を与える関係になれる可能性が大きいと考えられます。

ローカル産業同士の同業は競合しない

というのも、当然ですが、房総半島で移動する目的でいすみ鉄道に乗る乗客が、移動手段として井原鉄道と比較することはありません。逆も同様で、顧客の奪い合いが起きません。

一方で、地方鉄道という同じ事業を営む者同士、共通の課題は多く持ち合わせているはずです。集客から日々のオペレーションまで、共通する課題の解決に共同で取り組む相手として、また、お互いのベストプラクティスから学ぶ相手として、同業は最も価値ある連携相手になり得ます。

こうした関係は鉄道産業だけでなく、顧客が地域に密着した産業には共通して当てはまります。商圏が一定の範囲におさまる飲食店であったり、地域に住む子どもたちを対象にした塾であったり。

東日本と西日本ほど距離が離れていなくても、商圏が異なる岡山県北と県南など、高梁川流域圏域でも十分に、競合しないで協調する同業連携は可能なのではないでしょうか。

異業種同士だからこそ生まれる創発も重要ですが、競合でなく協調相手という観点で考える同業同士の連携には、より現実的に新しい価値を生み出せる機会が潜んでいるかもしれません。

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