オープンイノベーション動向を知り、自社に活かす
オープンイノベーションとは外部連携により異業種・異分野が持つ技術や知識、アイデアを取り込んで、自社の経営資源の限界を打ち破る革新的なビジネスモデルを創出するイノベーションの方法論です。
2020年4月に始まった「オープンイノベーション促進税制」の24年3月までの延長が決まるなど、日本経済全体の底上げの道筋としても期待されており、国内におけるオープンイノベーションの気運は高まっています。
このような状況のため、日々のニュースの中でもオープンイノベーションに関する情報を目にすることができます。他社の取り組みを知ることで、自社でオープンイノベーションの手法を活用するきっかけとなり、事業に役立てられる点もあるのではないでしょうか。
日本におけるオープンイノベーション関連動向を3つ紹介
ここでは日本国内でのオープンイノベーションに関連する最近の動きとして「三菱電機」「エスイノベーション」「東北電力」の3つを紹介します。オープンイノベーションを検討している企業は、これらの事例から自社に活かせる点がないか、ぜひ考えてみてください。
- 三菱電機
三菱電機は2022年1月に電子地域通貨システムを手掛けるフィノバレーに約1億円を出資し、資本業務提携しました。将来有望なスマートシティ関連で電子通貨のニーズも高まってくるとみて、事業創出のために提携を決めました。三菱電機は外部との連携によるオープンイノベーションの強化を掲げており、2020年度にはスタートアップに対する100億円の投資枠を設けています。大手企業のCVC設立の動きも依然活発で、資本提携による社外連携は引き続き注目されます。
- エスイノベーション
2022年1月、地域の事業承継やデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援する新潟市のエスイノベーションは、地域企業単独では困難なDX人材育成等のため、11社と協力することを発表しました。三菱UFJリサーチ&コンサルティングとは全国の企業とオープンイノベーションの推進で連携し、KDDIとは地域でのDX人材育成で協力するとのことです。エスイノベーションは新潟ベンチャーキャピタルの代表を務める星野善宣氏が設立した会社で、他にも地元新潟を出て首都圏等で活躍してきたメンバーが、地元への想いをもって地域のイノベーションにチャレンジするために集まった会社です。都市部で活躍しながら、いつかは地元へ貢献したいと考える人材は多くいます。そうした人材にきっかけを与え、惹きつけるために何ができるかを考えることも、地方発のイノベーションには重要な観点ではないでしょうか。
- 東北電力
東北電力は社会課題解決に向けた事業化について、公募で集まった事業者の中から3社と協業を検討することを2021年12月に発表しました。東北電力が実施した「オープンイノベーションプログラム」に応募した78社の中から選ばれ、早ければ2022年度の事業化を目指します。世界の大手企業による技術探索型のオープンイノベーションでは、P&Gによるプリングルスへの印字技術の公募も有名です。こうした他社の公募に敏感になることで、自社の技術やアイディアを社外連携で大きく発展させられる可能性が広がるかもしれません。
積極的に社外とのかかわりを構築する
オープンイノベーションの気運は高まりつつあるとはいえ、欧米に比べると日本企業の取り組みは進んでいないと言われます。また、社外連携するといっても、取引先以外にはなかなか関係を
つくるきっかけが無いというケースも多いと思います。
そうした場合には、他社事例に関する情報を取り入れ、参考にしながら進めていくのが一つの方法です。また、「高梁川流域CROSSING」が、圏域のオープンイノベーションプラットフォームとして、連携のきっかけを生み出す場となるように取り組みを進めていきたいと考えています。
サイトでの情報発信やイベント開催を今後も行っていきますので、ご注目ください。